排湿層がなぜ必要か?オメガボードの形状の理由

米国では建築基準法で排湿層が義務化されている

オメガジャパンの下地ボード(オメガ断熱ボード)には裏面に波型の「排湿層」が形成されています。これは、万が一内部に水蒸気や水が浸入した場合に速やかに排出するためのものです。

このような構造は「Drainable EIFS」=「排水可能イフス」と呼ばれており、アメリカでは2000年に建築基準法で義務化されている構造です。

オメガジャパンでは開業当時に現地視察をした際にEIMA(全米のEIFS協会)のスタッフからこの問題を指南されていたため、20年前から排水機能を備えています。

近年、オメガシステムに類似した工法が普及し始めていますが、日本国内で波型の形状により排水を実現している商品を見かけることはありません。

排湿層が無いEIFSで過去に起こった悲劇

アメリカにおいても初期のものは「排湿層」が設けられていませんでした。これらは、平らなボードをベタ張りしただけのもので「Non-Drainable EIFS」=「非排水イフス」と呼ばれていました。

当初は問題ないと思われていましたが、1980年代後半になると、雨漏りなどの問題が深刻化し、ブリティッシュコロンビア州南西部の「雨漏りアパート危機」など数千億円規模の社会問題にまで発展しました。

当時の被害状況や写真は下記のような海外のHPなどで見ることができます。
https://metroforensics1.blogspot.com/2014/10/design-and-construction-defects.html

ベタ張りEPSの危険性

排水可能EIFSは「もし水が内部に入ったら」ということを前提とした安心構造です。

いっぽうで非排水EIFSは「外部から水が入ることは無いだろう。あったとしてもボードを貫通して蒸発する。」という楽観的な構造でした。

結果的に、表面のクラックや窓回り、ボードの隙間から入ってきた雨水や、室内側から移動してくる水蒸気による結露水などが排出されず、内部にとどまったせいでカビ・腐食・雨漏りにつながり大問題となり、多くのEIFSメーカーは多大な損害賠償を負うことになりました。

日本にEIFSが広まり始めてから約20年。国内ではこの問題に対する認識がまだ甘く、残念ながら現在でも非排水EIFSが横行しています。

少し怖い話になりますが、日本で初期に非排水EIFSが施工されていた場合、その建物の問題が顕在化するのがちょうどこれからの10年ではないかと危惧しています。

オメガボードは特許取得済

オメガボードには裏面の形状だけでなく、水の浸入を防ぐためのもう一つの秘密があります。それはボードの小口に段差をつけた「相じゃくり」の形になっていることです。これにより毛細管現象でボード間に吸い込まれる水の量を大幅に減少しています。

オメガボードには二種類あって、波型の「排湿層」がある「オメガ断熱ボード」のほかに、裏面に18mmの通気層を形成した「オメガ通気ボード」もご用意しています。こちらは、劣化等級にも対応しております。

オメガジャパンは2004年の創業当時から、米国で発生した諸問題と日本の基準法に対応した構造を開発し、特許も取得済みです。

2種類のオメガボードについて詳しく知りたい方はこちら

今回はオメガボードの形状の理由について、ご説明させていただきました。最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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