【実証】オメガ通気ボードの断熱性能
通気層があるのに断熱性がある!
オメガボードには断熱ボードと通気ボードの2種類があります。
どちらもEPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム)という断熱素材で作られています。
しかし、通気ボードの場合は壁構造上、「通気層の外側に位置する」ために、U値などに反映できずにいます。
それでも、採用ビルダー様や、実際にお住いの方から「間違いなく通気ボード仕様でも断熱効果を感じる」という声をいただいてきました。
そこで、実際にどのくらいの断熱効果があるのか、一般財団法人建材試験センターに実験を依頼することに。
結果からお伝えすると「通気ボード仕様にも断熱性能がある」ことが明らかになりました。
夏型と冬型の2パターンの実験を実施
今回は試験条件として
・夏季
・冬季
それぞれをシミュレーションした2種類の実験を行いました。
公平な通気量を設定して精度を高める
上記が試験装置です。上から空気を吸い上げることで、通気層の下から決められた量の空気が流れていきます。
通気層を流れる空気の速度は、通常0.1m/s~0.3m/s程度といわれており、試験センターから提示された0.1m/s、0.2m/s、0.3m/sのうち、真ん中の0.2m/sを採用することにしました。
理由は、空気の速度によって、夏か冬のどちらか一方が有利になってしまうからです。
例えば、空気の速度を大きくすれば通気量が増えて通気層内の温度が下がるため、夏の結果が有利になり、冬の結果は不利になります。
今回の実験では、一方に有利な結果を導くことがないよう、公平な条件で実験を行い結果の精度を高めました。
サイディングの表面も同条件に
さらに、サイディングにも塗り壁と同じ日射反射率の塗料を施すことで、表面温度も試験体によって不利がないように準備しました。
下の画像の試験体は左から
①通気ボード仕様
②通気ボードのリブをカットしたもの
③サイディング仕様
いずれも通気層は18mm、夏季、冬季ともに、断熱性の差がサーモカメラで一目瞭然です。
実験結果(夏季条件)
まず夏季条件の結果から
家の中にいて最も影響を受けるのが「室内側表面温度」です。今回の試験体でいうと室内側の石膏ボードの表面温度になります。
通気ボードのときは29.1℃に対して、サイディングのときは31.9℃、その差は2.8℃にもなります。輻射熱による体感温度はかなりの差です。
熱抵抗値からもその差は明らかで、通気ボードが0.97に対しサイディングは0.51であり2倍近くの断熱性能の差がみられました。
この差は、EPSを約20mm付加した効果に相当します。
実験結果(冬季条件)
次に冬季条件の結果です。
室内側表面温度は、通気ボードの外壁では17.8℃だったのに対し、サイディングの外壁では16.6℃。1.2℃の温度差がありました。
熱抵抗値をみても、通気ボードが0.79に対しサイディングは0.57であり、38%の差異がみられました。
まとめ
今回の実験から、通気層の外側に位置するオメガボードであっても、外壁の断熱性能に大きく寄与していることがわかりました。やはり「通気ボード仕様でも断熱効果を感じる」という声は正しかったんですね。
今の解釈では「通気層を流れる空気の量によって熱抵抗値は一定ではない」ため、一律にU値に算入することができないのはとても残念です。
ただし、通気ボードとXPS(板状断熱材)を組み合わせることで、断熱等級6レベルの断熱性能をクリアすることは可能であり、この組み合わせで既に防火認定を取得しており、長期優良住宅にも対応しています(下の図参照)。こちらに関しても別の記事で詳しくご説明させていただきます。